ここのところで天使から百年→くあっどぴゅあ→ファディダディ・ストーカーズ→星の舞台からみてるの順にひとまとめに読んだ。このくくりに意味はなくて、積んでしまっていた本の上から手に取っただけ。

くあっどぴゅあ (ファミ通文庫)くあっどぴゅあ[rakuten](木本雅彦さん)は期待外れだった。限られた文字数の中にあれもこれもと詰め込みすぎで、骨組みはあるけどなかがスカスカになってしまった印象を持った。描写も説明も足りていないし、骨組みのほうでも無茶してる気がする。

同じように描写が不足ぎみながら、対照的に好感触だったのが天使から百年  魔人と主人と廃棄物 (富士見ファンタジア文庫)天使から百年[rakuten](野梨原花南さん)。舞台というか景観を想像させる部分が抜け落ちているので、読み進めた後から補正が必要となる。が、物語を支える世界観の構造に今後面白くなっていきそうな予感がある。というのは、裏を返せば第一巻としてまとまった何かが消化されているわけではないということでもあり、その上、巻数表示もなかったりするので…… 実は不安でもある。いい感じの続きを期待するところ。

ファディダディ・ストーカーズファディダディ・ストーカーズ[rakuten](芹澤桂さん)はカバーで買った。冬目景さんの絵を文芸コーナーで目にしておどろいた。それが落ち着いたら買うしかない。まあ、実際にはすぐに買ったのではなくて、どんな内容か調べてから買ったのだけど。

で、小説のほうはというと、一人暮らしをようやく始めた大学生のまわりに起きる騒動を扱ったもの。ストーリー展開はある程度予想がつくものだけども、人々が丁寧に書かれていてなかなか面白かった。次が出たら(冬目さん抜きでも)また読んでみたい。

最後に読んだ星の舞台からみてる (ハヤカワ文庫 JA キ 7-1) (ハヤカワ文庫JA)星の舞台からみてる[rakuten]はくあっどぴゅあと同じ木本雅彦さんの本だが、こちらは大変面白かった。

人物描写がちょっと弱いかなと感じたけれど、UNIX的なアレコレをまじえながら語られる全体的な構造は面白いと思った。近未来を舞台にしつつ、現在のインターネットをはじめとするネットワークの成り立ちをまず描き、その延長としての近来未を構築してみせているのもなかなか面白い。いやそこは、とかツッコミたくなったり、さらなる妄想したり。

テーマを支えるのはヒトとヒトをつなぐ信頼なんだろう。Web of TrustやCAなんて用語が出てくる。それらに象徴される(ようになる)ヒトたちがあり、事件があって新たな関係を結んだり、対立したり、離れていったりする。やがて決着に至るその物語は緩急起伏があって引き込まれた。著者の経歴から予想されるように、現場に近い描写がなされるところでは、ある面での生々しさがあるのもポイントの一つだろうか。

もちろん物語をどう評価するかは人それぞれだけど、少なくともちゃんと読み通せるだろうと思う。そして、この業種の人々(ハッカーと呼ばれるような人々は別として)なら読んでいて何か思うところが浮かんできたりするのではという点で、興味深い本だと思った。「どう、ちょっと読んでみない?」と言ってみたい本。

ときに、OSI7層とか、TCP/IP4層とかはもかく、tipだのkermitだのuuencode(X-MODEMとかじゃないんだな)だの、なんてのはSFな人々には常識なのだろうか。もしだとすると、いつまでたってもSFを読みこなせるようになれる気がしないのだけど……。