午前零時のサンドリヨン

ギークだ、と彼が再び呟く。
「さっきからなによ、ギークって、どういう意味? 日本語で話してくれない?」
「ルビーが入ってる」 (相沢沙呼「午前零時のサンドリヨン」262ページ)

午前零時のサンドリヨン午前零時のサンドリヨン[rakuten]を読んでいたら、思わぬ出会いがあった。とはいえ、その手の話題がテーマではなく、これは高校を舞台にしたミステリ。

話の運びにはやや固さがあるように思う。だが、それとは関係ない、物語の上でのカクカクした距離感に、少しずつ少しずつひきこまれていった。主人公の、あの時期の、あの青臭い、ぎこちない感じも好もしい(だんだんそう思えてくる)。最後は急に伸び上がってしまったかな、と思うと、いくらか惜しい気持ちにもなった。

次の本が出たらまた読みたい。