プロトコル

平山瑞穂さんのプロトコルプロトコル[rakuten]を読み終えた。

20代半ばの女性としての、ある種のステレオタイプからは外れた女性として描かれる主人公は、英文や仏文などの文法にこだわってしまうクセがある。生理的にとも表現できるようなこだわりで、それがもともとおかしな文章であったとしても読み解けないことがストレスになる。

また、ラフな服装が許されている職場において、かたくなにスーツ姿をつらぬき、女性として見られる機会を遠ざけたいと考えてもいる。過敏というわけではなく、職場は仕事をするところでありそれに十分な姿、言動であれば良いとする。

そんなクセはあるものの、おおむね自分の中で消化してしまい、おしつけたりしない彼女は、たとえば人づきあいがあまり良くないとは見られても、ひどく逸脱した人物ではない、はずだった。ところが社内での評判がたつようになってしまい、やがてそれが騒動のきっかけとなる。

ちょっとクセがあるけれども、たとえば変わり者と呼べるほどではない。そういう主人公が、主人公らしく考え、行動するお話。彼女はとりわけ考え込むタチであるようで、つい自分で考えてしまう。そういうところについ共感してしまった。あり体に言って色気はないし、かたくなだしで、魅力的であるかというと、そうでもないように思うが、実にその人らしいと感じられる。

プロトコルの意味するところが出てきて、舞台が整うころには、このお話の行き先はなんとなくは分かってしまうのだけれども、その行き先で彼女が経験する感覚は理解できる気がするし、なるほどそうくるかと思った。はたしてそういう経験をしたことがあっただろうかと考えると、ちょっと思い出せないあたりくやしくもあるが。

不粋ながらオチについて言うと、それって時代に逆行してますよね ;-) ま、運用もコミでっていうことならそうでもないけど。