忘れないと誓ったぼくがいた

平山瑞穂さんの忘れないと誓ったぼくがいた (新潮文庫)忘れないと誓ったぼくがいた[rakuten]を読んだ。

存在が限りなく希薄になってしまう期間を繰り返し過ごさざるを得なくなってしまった少女と、彼女に出会ってしまった少年の話。

よく聞くような設定だけど小説で読んだというのは考えてみるとなかったような気がする。ドラえもんとかでその種の話があったような。

ポイントは記憶。彼女の存在が希薄となる期間に入ると周囲の人々の記憶も薄まってしまう。これは不可逆変化であるためケアなしに繰り返し経験すると戻らなくなっていく。そんな異常な状況の中で、ごく普通に生きる様子が描かれていて、変な言い方だけど、そういうある部分での盛り上がらなさ具合いが真に迫るような気がする。

わりと気にいったので文庫を一冊仕入れてきた。