あの夏を泳ぐ

ピンクの神様[rakuten]が思いのほかちくちくとダークで当てられそうになったので、松久淳さんと田中渉さんのあの夏を泳ぐ―天国の本屋あの夏を泳ぐ[rakuten]に避難した。天国の本やシリーズの久しぶりの新刊。

高校で水泳に打ち込んだある女性のものとにヤマキ翁が訪れる。高校で出会った二人はタイムを競うライバルになり、同じくして男性コーチへの想いにおいても意識し合うようになった。そして舞台は数年後の水泳部同窓会から始まる。

さばっさばの二人の女性が打ち込んだ姿がごく素直に描かれている。というのは、実際に思い起こすように、当時の不安、楽しさ、辛さ、反抗心、もしかするとちょっとイタい記憶、そういったものをひっくるめてよい形で掬い上げるようであって、一方で振り返りの気持ちがにじむ。

もちろん、天国の本屋がからむのだから、そうではない何かがひっかかるわけではあって、そこから展開する。今回も先を読める展開ながら、やはりその少し上を行く感じがあって楽しめた。