時間はどこで生まれるのか

橋元淳一郎さんの時間はどこで生まれるのか (集英社新書)時間はどこで生まれるのか[rakuten]を読んだ。

日常の中で感じるような「時間」の起源を物理学から考える本。その前提、おさらいとして相対論、量子論、エンロピーを扱ってから本論に入る、という構成なのだけど、その段階でついていくのにちょっぴりきびしい感じになった。自分の物理素養のなさにほとほとあきれる。

また、著者の意図は、現代の物理学を下敷きにした新たな哲学的時間論の登場を期待するというところにある。そのため、触れられる話題の範囲も広いわけだが、伝統的な(?)哲学的時間論の様子を知らないので、哲学ではどのように扱われているのかという対比が出来なかったのが残念。むろん、そこのところは本書のカバーするところではないので単に私の勉強不足。

まあそんなでも言わんとすることはなんとなくイメージできた、気にはなれた。必要なところを補った上で、もう一度読んでみたい。

この本の良かったのはガイド付きで次に読む本を紹介してくれているところ。

数々の時間論を網羅的に紹介する「時間——その哲学的考察」、本書と同じく物理学からの時間論を考える「時間の歴史——物理学を貫くもの」、本書でも触れられているマクダガートを詳しく扱った「時間は実在するか」、仏教の先新的な考え方を扱う「唯識の構造」といったあたりを読んでみたい。が、前二者はすでに入手困難な様子。

ホントこの手の本はすぐなくなる。困ったものだ。