ラブコメ
松久淳さんと田中渉さんの「ラブコメ」を読んでいる。
27歳、元同級生の二人が再会してどうにかなっちゃったり、あるいはどうにかならなかったりしそうなお話。彼女は下町の花屋さんで彼はアニメの脚本家。サバサバとちょっとナヨナヨ。気持ちの向きは彼→彼女。さてどうなるか、で、半分程読んだところ。
書店で手にとってパラパラとめくったとき、書き出しの花屋さんのハードな一日の描写が気にいって、話のスジのことはあまり意識に乗らないままいつか読もうと思っていた本。まあ、タイトルがラブコメなんでそういう方向なんだろうとは思っていたけど、まさにそういう方向の本だった。
アニメの収録の進行と、二人をとりまく日々が並行して描かれることもあり、映像的な描写が強い。読み始めてしばらくはテンポというかノリというか、そういうのに少し戸惑った。本作でのねらいなのか、著者たちの作風なのかはわからない。
さて二人の関係はというと、ラブ<<コメなところから始まる。半分あたりまでで比率が変わりつつあるのかなというところにきていて、しかしながら、このままだまっているはずはないでしょうという人がまだ動いていなかったり、著者自らが予告している伏線が回収されていなかったりで、この後何らかの展開があるのだと思われる。
で。
読み終えた。面白かった。いや、楽しかった。ベタ中のベタ。
感情移入してわーっとなるのではなくて、そこではこうならなきゃねっていうのをいろいろな形できっちり描写してくれるのを楽しむような。けれどもそれは第三者的に距離をおいてながめるような、あるいはカメラを通した影像を見るようなそういうのとは違っていて、彼、彼女たちのすぐそばにいて干渉しあうものであるように感じられる点がにくい。脇役Xの場所が用意されているような、そういう幅のとり方なのかな。