なぜいい女はパッとしない男に惚れるのか?

澤口俊之さんのなぜいい女はパッとしない男に惚れるのか? 誰も知らない60の脳のお話 (アスキー新書 021)なぜいい女はパッとしない男に惚れるのか?[rakuten]。テンポが悪いなあと思いつつもぼちぼちと読み進めていたのだけど、結局、途中でやめてしまった。

直接的には「子供ではTVゲームの類は前頭連合野の発達にマイナスのようです。TVゲームばかりしていると、前頭連合野の働きが鈍い『ゲーム脳』になると真顔で主張する研究者も出てきています。特に発達過程にある子供がゲームばかりしていると、前頭連合野の働きの鈍い『ゲーム脳』になってしまい、すぐキレるとか、思考力や集中力がないとか、判断力が劣るなどの諸症状が出てきかねません」(121ページ)というところで力尽きた。

これに先立つ前書きには「本書には様々な項目があって、それぞれが皆さんの役に立つはずですが、その際に注意していただきたいことは『正しい知識』と『騙されないこと』です」(10ページ)とある。上の「ゲーム脳」という主張には問題があるということはよく知られているわけなんだけれども、そうしてみたときに、「問題がある」という反論に問題があって、上のように援用する形で同じことを述べているのか、あるいは単に大本の「ゲーム脳」を支持しているのか、どちらだか分からない。

どうも、見出しごと(60個あるらしい)に、強い分野かそうでないかのムラがあるようで、ある部分では具体的な研究者の名前やどのような研究がなされたのかといったところまで話が及ぶが、そうでないところは「ゲーム脳」の話のように、科学者でない私たちが認識を変えたほうが良いような研究の進展があったのかなかったのか、たしからしい言説なのかそうではないのか、といったところが判別できない。

また、男女感の関係を進めるテクニックとしていわゆる「吊り橋効果」が紹介されているのだが、この話などは多くの人が聞いたことはあるだろうし、仕組みもそれなりに説明されているように思う。そう新しいトピックでもないわけで、2007年出版のこの本で扱うのであれば何かひねりが期待されるが、説明も何もかも従来通りで、どうということがない。

どうにも新鮮さがないなと思っていたところで「ゲーム脳」のくだりにさしかかり、信頼感までもなくなってしまったためにそれから後の部分はパラパラとめくった程度で終えた。

ちなみに書名の問題についてだが、パッとわかるような形では意見が述べられていないのではないかと思う。少なくとも対応するような見出しはない。全体を通して男女関係に影響のある話題がしばしば出てくるし、最後の30ページくらいは性生活を含む男女関係の話題に割かれてはいるので、まあ、大きくはずしてはいないようには思うのだが、それ以前に前述の通りなわけで、率直に言って「どっちでもいいや」というの読後の気持ちである。