「死んでも治らない」と「僕と先輩のマジカル・ライフ」

若竹七海さんの死んでも治らない (光文社文庫)死んでも治らない[rakuten]を再読。その後、ずいぶん前に買っていたはやみねかおるさんの単行本の僕と先輩のマジカル・ライフ (角川文庫)僕と先輩のマジカル・ライフ[rakuten]を読む。置いてるうちに文庫になってた(リンクは文庫)。

「死んでも治らない」は、退職した刑事が間抜けな犯罪者のことをまとめた本を書いたことがきっかけになって、様々なトラブルに巻き込まれてしまうという話。むろんそれだけでは終わらないわけで。

「僕と先輩の〜」は同著者の「少年名探偵」シリーズと同じ時期に買ったのだけど、「少年名探偵」を二冊か三冊読んで、これはちょっとなーと思ったために放置してしまっていた。シリーズ全体にある青くささと、「少年名探偵」が他の登場人物のすべてをおさえつけているといってしまっていいくらいの超人ぶりがどうにも消化できず、入りこめなかった。

「僕と先輩の〜」はどうかというと、やっぱりキーマンのアクだけが突出して強いように思う。「少年名探偵」よりは抑えられているようには思うけれど、物語中のバランスを欠くくらいには強く、相対的にまわりの人々が弱くなって、何やら放り込まれているだけのような印象になる。

また、一部の登場人物については消費されることなく廃棄されているような印象がある。裏がありそうな設定が残っているところからすると続きが出ているのかなとは思うのだけど、そうだとしてもちょっと手が出ないなあ。たしかな霊感を持つ女の子に、その霊感を信頼しつつも現象はまっこう否定する主人公の男の子、とかいうのはいじりがいがありそうに思ったのだけど、主人公のそうした矛盾はおろか霊感の活躍もなく(霊現象ではないと言い切る程度には活用される、のだけど、全体としては逆効果になっているような気もする)、どうにも残念。