絶望系 閉じられた世界

谷川流さんの絶望系 閉じられた世界 (電撃文庫 1078)絶望系 閉じられた世界[rakuten]を読んだ。

amazon.co.jpのレビューでは、星五つか、さもなくば星一つかみたいなことになっているものがほとんどなんだけど、そうまでしたものかなあと思った。ベタ褒めなレビューやその逆のレビューが最初のほうにあると反作用的に逆向きのレビューが付くような気がなんとなくしていて、これもそういうのかなあと。

で、実際読んでみたところ、技術者が機会が与えられるたびに様々な形で説明を試みるのに似ていると思った。思想や世界感をベースにした表現や主張というよりも、すでにある何かをがんばって説明しようとしているような。ま、この作品だけでなく他の一連の作品も含めてのことなんだけど。そんなわけで、他の作品よりも前に読んでいたらどうだったか分からないけど、今このタイミングでは面白い、面白くないという感想は持たなかった。

ところで、amazon.co.jpのレビューの中にはエログロがきつい、トラウマになりそうなんて意見も含まれているが、それほどのことはなかった。無垢な中学生が読むのならあるいは、とも思わないでもないのだけど、無垢って、ねえ。その種の記述はたしかにあるけれども、改めて話を追ってみると実はけっこう残酷だったりする童話、なんて程度だと思う。