クレイジーカンガルーの夏〜クレイジーフラミンゴの秋
誼阿古さんのクレイジーカンガルーの夏[rakuten]と
クレイジーフラミンゴの秋[rakuten]を読んだ。
ちょうど私くらいの年代の人々が中学生だったころを舞台としている。夏のお話は男子中学生達が主人公で、夏休みにひと夏の冒険に旅立ち、そして帰ってくるまでを描く。秋のお話は女子中学生達が主人公で、学園生活をいかに過ごしていくかを描く。
どちらも主人公の子供達とまわりの大人達との関係が一つの焦点となっている。子供達がいかに考え、いかに振る舞うか。場にはどんなパワーバランスが構築されているのか。そんなことを懐かしく思い出したり、ある種の憧れを感じたりした。
もう一つの焦点は子供達同士の関係であるが、夏のお話が一つのグループの動きを追っているのに対して、秋のお話はクラスや学校の中での女子生徒の動きを追っているので、その内容や雰囲気はかなり違う。もしかするとあの年代の、男女による社会性の違いによる部分もあるのかもしれないとも思うのだが、その点はどうにも比較できないのでよく分からない。
本編はもちろん学生生活なのだけど、読後の感想としては、卒業をしてから会っていない人々を思い出してみるだとか、あるいは別れの前後での喪失感の種類の違いを再現するだとか、そういうところにうまく導かれたように思う。ま、どちらかというと後者なんだけど。
夏のお話ははじめの1/3くらいを読み進めるのがなかなかしんどかった。いまひとつ何が描かれようとしているのかつかめなかったので。それに対して秋のお話は最初からすんなりと読み進められた。
そういうのも含めて考えると二冊のうちの秋のお話のほうが良かったように思う。ただ、二冊とも舞台が同じなので両方読んだほうが良いかなとも思う。