アリソン(1)(2)

時雨沢恵一さんのアリソン (電撃文庫)アリソン(1)[rakuten]とアリソン〈2〉真昼の夜の夢 (電撃文庫)アリソン(2)[rakuten]を読んだ。これは面白い。それぞれ一冊まるごとずっと楽しめる。

舞台は複葉式飛行機が飛ぶような世界。鉄砲や機関銃、電気もあって、二つの大国はいつ終わるとも知れない戦争を続けている。大国のうちの一方で生活する二人が主人公。一人は女性で空軍に所属。一人は男性で奨学金を受けながら高等教育を受けている。二人には身寄りがなく、そのために同じ場所に育てられた幼なじみだが、今はそれぞれの所属に応じて宿舎や寮で別々に暮らしている。空軍の休暇を使って久々の再会をするところから物語は始まる。

一巻では、嘘か本当か分からない、戦争を終わらせられるかもしれないような大きなお宝がとあるところに眠っているという、とある老人から飛び出した話に乗っかって、紆余曲折はありながらも探しに行くことになる。二巻は、一巻の話のあとしばらくしてからのお話で、いわば修学旅行に行くところから始まる。

最初に言ったとおり、一冊まるごと楽しめる作りになっているのでこれ以上はネタばらしになってしまうと思う。ミステリー的なお話ではないけれど、読み進めるに応じて展開されるストーリーがあって、それは突飛過ぎもせず、推測通りというのでもなく、予想を裏切らずその少し上を行くような、一周まわって期待通りといって差し支えないような驚きや楽しさが待ち受けている。

ちなみに(少なくとも今のところまででは)魔法や超人技、露骨な色恋、スーパーバイザー的な何か、といったものは出て来ない。本としてはいわゆるライトノベルに分類されるのだろうし、高校生くらいの年齢の少年少女が活躍するお話ではあるのだけれども、ストーリーはよく練られていて軽いながらも十分に楽しめる。あまり馴染みのない人でもこれはいけるんじゃないかな。