レジンキャストミルク(1)

藤原祐さんのレジンキャストミルク (電撃文庫)レジンキャストミルク[rakuten]を読んだ。

ネーミングや用語、セリフまわしに気負いが感じられるけど、表現される世界はなかなか興味深い。もっとも名前については何かキーになっていくのかもしれないとも思える。

この世界から派生させた世界そのものを背負ってこの世界に侵入し、試かな居場所を得るために何者かに寄生する者達と、それらによる侵蝕に抗おうとする者達との衝突が一つのテーマになっている。

ただし、すべてが即座に衝突するわけではなく、恣意的な運用がなされてもいる。今のところは。また、一方で、ある種の者の背景には世界がそうなってしまった原因または原因に近い何かが見え隠れしてもいて、主人公達は推測、葛藤、選択、決断を促される。

ただ、今回のこの話は基本的に導入で、これからの予告であるようだった。背景の見ない部分は見えないまま、謎は謎のままだし、まだ名前しか出てきていない者もいる。何からの進展があるわけではなくて、これから始まるよー、あるいは始めるよーという宣言がなされている。なのでストーリーとしてはスジに少々あまいところがあったかなとも思うのだけど、それは少しおいて、続巻でどうなっていくかを読んでみたほうが良さそう。

この世界のこともありながら、もう一つの問題は心のことだったように思う。となれば、その方面で何がどのように描写されるのかが気になるところ。これも続巻でどうなっていくのか楽しみ(ただ、今のところ一人称的なんだよね)。

追記: そういえばアポカリプスと似てるなあ。