魔法飛行
ななつのこの続編。今度は駒子ちゃんが彼女の日常を物語として書き、それへの感想文を瀬尾さんが返す。このやりとりは私的なもので、なのに物語を読んだという人物からの手紙が届く。そしてその手紙からは、どうやら書き手が深刻な問題を抱えていることがうかがえる。きっかけは彼女の物語らしい。
物語と手紙とのコントラストと、二番目の物語に登場する絵画とが強く印象に残った。意外なつながりを読み終えた後で、もう一度読み返そうと思った。あと物語のスジとはあまり関係ないんだけど、最後の舞台が横浜で、あっちかな? こっちかな? なんて想像しながら読めたのも良かった。想像しながらといいつつ、実は、私は、道をとり違えて山手のほうに行っちゃったんだけど :-)
全体を通してみると前作とはちょっと雰囲気が違っているが、全体を構成する一つ一つの物語の中の日常のトーンはチャーミングで、それは共通している。あの時期の視界の具合いや、なんていうか、周りが動いてる感みたいなものを思い浮かべる。