ツ、イ、ラ、ク(続き)

昨日の続きを読んだ。その後、主人公は大きな事件にぶつかる。女の子たちとその同級生たちは中学から高校へと進み、やがて大人になる。

後半のキーは対比と俯瞰なのかなと思った。

対比というのは大人になった彼女らと、子供であった彼女らの対比。変わったところと変わないところがあり、大きく小さく変わった人とそうでない人とがある。葬式を期に再会し、きっかけにそれぞれにあるいは誰かとともに振り返る。対比、振り返りと理解だったかも。

そういう描写の変化も含めて、前半での視点からすると後半にかけては客観性が出てきているように思える点がもう一方の俯瞰。これはあるいは登場人物の年齢が今の自分に近くなってきたからそう感じただけなのかもしれないけれど。

驚きがありながらも懐かしさを伴う共感を覚えていたのが、じょじょに見守る——とまではいかないまでも、一歩ひいたような視点になってくる。そのため、物語から受け取るというよりも、物語を自分を取りまく状況のどこかに当て嵌める、位置付けるといった面が出てきたのかもしれないなと思う。そうしたところの(想像を含めた)状況の多様性を思いうかべ、見知らぬ誰かでなくなった誰かを見るように感じたのかも。

追記(2007-02-27): 文庫版のツ、イ、ラ、クが出てるみたい。

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ツ、イ、ラ、ク 姫野 カオルコ 2003