街の灯
北村薫さんの街の灯[rakuten]を読んだ。買ってからずいぶん放置してしまっていた本だったのだが、読み始めれば一日の内に読み切ってしまった。解説によればこれもシリーズのようなので他の話も読んでみたい(いや、続きは出てないのか、な?)。
舞台は震災の少し後といったあたりで、そういった事柄についての知識がほとんどないというのが放置の一因であったのだけど、一日で読み切ったくらいで、まったくの杞憂だった。つまるようなところはほとんどない。もっとも、社会的背景などある程度知っているともっと楽しめるのかもなとも思った。その点では巻末の解説を先に読んでおくのもよいかもしれない。
この本を読んでパッと連想したのは辻灯子さんの「帝都雪月花—昭和余録」で、よく考えなくても雰囲気はちがっているはずなのだけど、私の頭の内では「街の灯」の登場人物たちも彼女の絵で、というかそういった雰囲気の姿形で現れたところがあったような気がする。