ぼくと魔女式アポカリプス

ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)ぼくと魔女式アポカリプス[rakuten]を読んだ。水瀬葉月さん。

滅亡のきわきわにある魔女達が自らの種族の復活をかけて死闘を繰り返す。ただし彼女らは寄生体であるために特定条件に合致した人間による代理闘争が実態となる。幸か不幸か合致してしまった人間たちと魔女たちの物語。狙ったり、狙われたり、協定を結んだり、破ったり。

本書はシリーズの導入でもあるようで、主人公が状況を理解していく過程に付き合う形での舞台説明にある程度のページが割かれている。その舞台は学園で、登場人物、とりわけ寄生される人間のいくらかは同級生であったりする。魔女と人とはある面で生死をともにするため、テーマの一つは死生観にもなりそうである。全体的なトーンは暗いわけではないものの、そういうわけで読み込めば陰惨な面が浮き出てもくる。

ストーリーが後半にさしかかると容疑者探しの様相を呈してくるのだけど、ヒントの出し方がもうひとつという気がしないでもない。そういわれればそうなんだけど、でも、どうもすわりが悪い——というような。読み方の問題かもしれないが。まあ、それでもストーリー展開としては楽しませてもらえたので、その点では今後の発展に期待したい。

表現や描写については、後先はよく分からないので認識違いだったら申し分けないのだけど、西尾維新さんの影響がちらつく。そのせいでもう一つ入り込めないのが残念なところ。ついでに言うと、悪い意味でライトノベル的というか、やや露骨なキャラ付けもまた入り込めない要因の一つになっているように思う。前述の点に加えて、こういったところのひっかかりが著者独自のものとして消化されていくようならもっとシンプルに楽しめそう。いや、こちらも読み方の問題かもしれないが。

二巻が出ているようなので、とりあえずそれは読んでみる予定。