わかったつもり—読解力がつかない本当の原因
わかったつもり—読解力がつかない本当の原因[rakuten]なる本を読んだ。
わかったつもりになってしまうことによって、読みが深まらなかったり読み間違えてしまう。わかるためには文脈とスキーマを正しく適用しなければならない。文脈(背景)に応じた意味を文章から取り出し、スキーマ(既得の知識)によって相互の関係を解決することで理解を深めることができる(想像や想定によって解釈する余地がある場合もある)。ではどういう形でわかたっつもりなったしまうのかというと、文脈やスキーマを誤った形で適用してしまうため。……などといったお話。
どのようにしてわかったつもりになってしまうかを示すための実験を体験することができるようになっている(第一章の最初から10ページくらいを読むとその一部を味わうことができる)のだけど、そのための文章は小学二年生の国語の教科書に掲載されていたものなど。だが、しかし、私はきっちり罠にはまってしまった。いや、罠じゃないんだけど、いかにおおざっぱに読み流してしまっているか実感できた。
で、わかったつもりが曲者なのは、その状態でも一定の理解ではあるためであるというわけで、そこからいかにして先に進むかを最終的には考えたいわけであるのだが、スキーマというくらいだから(言い方が適切ではないかもしれないけど)それは自動的に持ち出されそうなものであって、そうであれば、そこのところに何らかのトリガーを自分で仕込むのはいかにも難しそうに思える。著者は適宜まとめをつくってみて、その内容を評価してみることを提案の一つとして示しているのだが、下手をするとスパイラルに陥りそうな気がしないでもない。そうかといって他に何か打つ手があるかと言えば、ありそうにもないのだけど。
ただ、本書を通して自分の実力を見せられたことで、読む時の意識が変わってくるのなら、それだけでもいくらかは先に進めるのかもしれない。