おいしいコーヒーをいれるために
おいしいコーヒーをいれるために[rakuten]はずっと前に書店で見かけて良いなあと思った本。そのときは買わなかったのだけど、結局、買ってしまった。
まずはいれ方の説明の部分だけ読んで、それで新たな気持ちでコーヒーをいれてみると、昨日までとは違った味になった。比喩とかではなく。もっとも説明に忠実にとまではいかないのだけれど(安定しないし)。
この本では、コーヒーのいれ方としてはペーパードリップだけを説明している。その代わりにお湯を注ぐところからだけで八つの場面を写真で示していて、そのどれもがコーヒーの粉の状態が分かる上からの写真とコーヒー液の様子が分かる真横からの写真の二段組みになっている。写真に対する文章はそれぞれのカットに一言ずつといった感じで通常の意味での説明とは言えないかもしれないが、それでも十分なくらいだと思える。
amazon.co.jpの書評にはコーヒーの淹れ方を実践的に学ぼうとお考えの方がご購入されると、失敗する
、裏づけ的な情報は書かれていません
、雑貨として飾っておくという意味合いでご購入されれば失敗は少ない
といった厳しい意見もあるが、私はこれとは反対の感想を持っている。
いわゆる入門書の類であってもこの本のような丁寧な(あるい意味くどい)説明は意外と見られない。そういう本は写真も文章もどこか断片的で「あとは分かるよね」という含みが感じられることが少なくなく、読書にとっての実践の場で必要とされる情報についての物足りなさを感じることがある(まあ、その分、様々な器具を使ったいれ方が説明されているわけだけど)。また、そもそも専門的な説明を求める人には別の種類の本が提供されているのであって、そういう人がこの本を手に取ることはないだろう。そういった意味でこの本はバランスの良い内容になっていると思う。専門的な解説も読んでいて楽しいけれど、それはそれ、これはこれ。用途に合わせて本も選んだほうが良いと思う。
その時の気分その他でフラフラしてフォームの定まらない私にとって、この本はアジャストするのにちょうど良い。