ここ二か月くらいに読んだ本

なかのにっきを見て読んでみたのだったと思う。50ほどのトピックを寄せ集めたような構成になっていて、面白いものもそうでないものもあった。前者のほうが多かったように思う。ただ、全体的に「まずはココまで上がって来てね。それから話をしよう」というような雰囲気があって、しかも「ココ」が結構高いところに設定されているように感じた。

サブタイトルには「問題解決のメタ技術」とあるのだけど、私自身の環境に適用するにはギャップがあり過ぎて、うーん、とうなってしまうところも多かった。これを読んだときの自分はマイナス方向に受け取ってしまったのかもしれない。

amazon.co.jpのコメントを見て買った。それなりに参考になった。

「工学屋の〜」は数年前から探していた本で、最近になって新版として出版されたもの。コーヒーの液や香の成分を分析してみたり、豆の断面を電子顕微鏡で見てみたりしている。また、こうすればこうなるだろうと予想を立ててから実際に試してみるといった感じで、学生時代の実験のようなことをした様子も紹介されている。半分くらいはそんな内容で、残りの半分は著者のコーヒーに関する体験とかコーヒー全般の知識についての話。想像していた内容とはちょっと違っていたけれど、普段のコーヒーとの接し方にはない接し方が書かれていたし、何より著者が楽しんでいることが伝わってきたのが良かった。

あとの二冊は「工学屋の〜」を読んだ後、他にこういう本はないかなと探していたときにコーヒーに関する本の紹介を見付け、その中から選んで読んでみたもの。

「珈琲学」の1/3にはコーヒーが現在のように飲まれるようになるまでの歴史、特に当時の宗教や政治との関係やそれぞれの場面で加えられた圧力とどう闘ってきたのかが詳しく書かれている。残りの1/3にはコーヒーの成分などについて、「工学屋〜」よりもさらに詳しい解説があって、なつかしい六角形が出てきたりもする。類似の組成を持つ物質との比較をまじえて身体への影響なども論じられていて、こちらも大変興味をそそる。最後の1/3は各種のメニューの紹介。薄いわりにそれなりの値段がするのけれど、かなり満足できる一冊だった。

「味をみがく」は先の二冊とは違って、徹底してコーヒーの入れ方を解説しようとする本。ネル、ペーパー、サイフォンでの入れ方について大変詳しい説明が行われていて参考になる(単に湯の注ぎ方を説明するだけではなくて、焙煎やブレンドといったところも含めた説明がなされている)。手順を示す写真があったらさらに良かったのだけど、残念ながらイラストのみ。

写真での解説といえば、書店で見ただけで手元にはないのだけど、おいしいコーヒーをいれるためにおいしいコーヒーをいれるために[rakuten]が手順のいちいちを写真で示していて良さそうだった。

「パフォーマンス・マネジメント」は自分自身やまわりの人々の行動に関する問題を解決するためのテクニックを紹介している。何かうまくいかないことがあるときにも他人や自分を責めず、問題解決の方法を考えようというのを基本的な指針とし、行動分析学による九つの原理を活用して具体的な解決策を示すというストーリーになっている。例として扱われているのは部下、安全、体重、恋愛、スポーツ、道徳、……などの管理で、それぞれに物語をまじえた解説がなされている。ちょっとわざとらしい物語だし説明的でもあるのだが、小難しかったりはせずそれなりに分かりやすいと思う。

行動分析学とか原理とか、難しそうな雰囲気がただようけれど、少なくともこの本で扱われている範囲では、良い結果が出た状況を好むようになるとか、うるさい上司の前では静かにするとかいった、だれもが経験したことのあるようなことを説明しようとする程度。人々のそういう性質を意識することによって、良い状態を長続きできるようにしようというのが(個々の例の具体的な)目標になっているように思う。なかなかそうはうまくいかないよなあと思いもするが参考にはなった。他人や自分を責めず、というのがスタート地点だというのにも少し救われた。

本文とは関係ないけど、例の物語の中で「高木くん、これLINUX対応の新しいDTPソフトなんだけど、……」というセリフが出てきておどろいた。

だいぶ前に買ってそのまま置きっぱなしにしていたけど、ようやく読んだ。思っていた以上に知らないこと、理解できていないことがあった。「著作権て多分こんな感じのものだと思うんだけど……」というような状態の人は読んでみると良いと思う。また、「多くの人々に関係を持ってほしいテーマ」としてCDの輸入権、書籍のレンタル、中古CDの売買、まんが喫茶の四つの問題がとくに取り上げられているので、そのあたりについて関心のある人も手にとってみると良いのではないかと思う(今は関心を持っていない人に読んでもらうほうが良いのかもしれない)。

前に読んだ「死ぬ瞬間」の続編ということで読んでみた。様々な文化や宗教において死ぬということがどう扱われているか、どう説明されているかなどについての論文(著者によるものではない)がいくつか紹介されていて、それらには興味をひかれたのだけど、それ以外の部分については思想的というかなんというか、著者のひとりよがりのように思えた。少なくとも、前作で扱われたような死と死にいく人々をとりまく社会についての話ではない。文化や宗教が死をどう扱っているかについて知りたいのだとしても別の書籍にあたったほうが良さそう。著者の考え方を知るのには悪くないのかもしれないけど、前作の続編として読むとかたすかしをくらう。そんな感じ。