快適睡眠のすすめ
快適睡眠のすすめ[rakuten]を読んだ。前半では、過去に行われた実験結果などを参照して、睡眠というのがどういう現象なのかとか、あるいは睡眠の特徴(長い短い、早い遅い)によって心身にどういう負荷がかかるのかが説明されている。後半では睡眠や眠気に関する人間のサイクルとの関係に注目して、どういう形で睡眠をとるのがよいのかが考察される。
これまでの経験や伝聞やテレビ番組からの知識などと対比させると、ある情報についての意味のとらえ方という点でズレていたりすること結構多いことが分かった。というよりも、私が持っている睡眠に関する知識というのが、あやふやだったり断片的だったりすることがよく分かった。たとえば、以下のような点で私のこれまでの認識を改める必要がありそうだ。
- 眠っている時間が長くなったとしても、深く眠っている時間はほとんど長くならない。
- 睡眠に対して不満を感じている人とそうでない人で、床に入ってから眠るまでの時間、途中で起きる(眠りがすごく浅くなる)回数についてはほとんど差がない。
- 体内のリズムをリセットするためには起きてから3〜4時間のうちに強い(2500ルクス以上の)光をあびる。
- 睡眠時間が三時間で問題ないという人も稀にはいるが、通常は短くできてもいいとこ六時間まで。
- 半年かければ六時間睡眠に移行できる。
- 睡眠を二回に分けてとることは可能で、その場合でも1〜5時の間に四時間の睡眠を確保するとリズムがくずれたりしない。
- ダ・ビンチスタイルに近い四時間おき30分睡眠という生活も可能ではある。ただし、眠る楽しみは失われるので動機がないと続かない。
- 普通に睡眠をとれている状況で熟睡の入る昼寝をすると、夜の睡眠に影響を与えてしまう。
- 14時ごろにはどうしても眠くなるので、この時期に合わせて20分前後の睡眠をとるとリフレッシュもできてよい。この時、横になっても構わない。
- あるいはおやつをとって乗り切るというのもよい。カフェインをとったり、会話などのから刺激を受けるようにする。
- カフェインの持続時間は三〜四時間で、効果が現れるまでには30分くらいかかる。
- カップ一杯で考えると、緑茶/ほうじ茶/ウーロン茶、紅茶、コーヒーの順にカフェインが多くなる。アラビカ種よりもロブスタ種のほうがカフェインが多い。
- 寝る前には体表の温度をいったん上げてやるとよい(そうして体内の温度を下げる)。たとえば寝る前にぬるめの風呂に入って、汗がひいたところで床に入る。
- 寝る二時間ほど前にストレッチなどで体温を上げておくとさらによい。
- 猫は横になっているときにレム睡眠、頭を上げて眠っているときはノンレム睡眠。
- 幼児ですら寝る時刻が遅くなってきている。半数が22時くらいまで起きているとか。
- 保育所などでの強制昼寝の弊害。
全体として、睡眠についての理論や理屈を説こうとするものではなくて、「こういう結果からこういうことが推測される」といった形で話が進んでいく。そのようなスタイルのためか、冒頭には調査方法についてのわりと詳しい説明があるのだけど、なるほどと思えるところがある反面やや退屈にも思えた。その部分(といってもせいぜい数ページ)を乗り切れば、後は一息に読んでしまえる程度のボリュームで、内容も充実しているように思える。
眠りの性質や必要性は年齢に対して一定ではないとのことなので、早い時期にある程度の知識を得ておいたほうがよさそうだ。