これから3年、家を買っていい人ダメな人
これから3年、家を買っていい人ダメな人[rakuten]を読み始める前に、家を買うということはどういうことなのかなあと少しだけ考えてみた。
- 満足感や将来に対する安心感は得られそう。
- ローン返済 = 賃貸の家賃とすると、どうせなら買ってしまったほうが良いのかな?
- でもローンくめる? 頭金は? 利息は?
- ローンが30年後に終るとして、その時建物は大丈夫だろうか。まだ住めるだろうか。
- 今、5年後、10年後、15年後、買うならいつだろう。ローンが終ったとき、そのままでは住めなくなっていたら?
- 引っ越さなければならなくなったらどうしよう。貸し出す?
- 資産の一つと考えたとき、最終的にプラスにできるのだろうか。
- 税金は?
この程度の質問*1に対してであれば、この本はそれなりの説得力を持つ一つの見識を示してくれているし、より多くのことを学ばせてくれる。
内容は書名の通りだ。家を買おうかどうしようか、親には「そろそろどうだ」と言われているし…なんて人は読んでみるとよいと思う。家があれば将来の不安がなくなると思っている人も読んでおいて損はないだろう。内容を一部紹介すると、たとえば冒頭には家を買うために必須となる知識についての次のような自己診断チェックリストがある(いずれもYes/Noで答える)。
- 賃貸よりローンを組んでも自分のものになる持ち家のほうがトクだ
- 老後の住まいを考えれば、賃貸より持ち家のほうが安心だ
- 最初はマンションを買って、いずれは一戸建てに買い替えるつもりだ
- 家を買って、いざとなれば貸せばいいと思っている
- 老後はマイホームを売って有料老人ホームかケア付きマンションに入るつもりだ
- 収益環元法という地価評価の方式を知らない
- 地価も物件価格もいずれ値上がりする
- インフレ時とデフレ時の借金の意味の違いを説明できない
- 賃貸派より持ち家派のほうが消費額が大きい
- 住宅ローンの返済は年収の四分の一程度なら大丈夫だと思う
- ローンはボーナス併用で組むつもりだ
- 固定金利と変動金利のローンの違いが説明できない
- 親の面倒は兄がみるので自分が親と同居することはない
- 妻を愛しているので離婚などあり得ない
- もう子供をつくるつもりはない
- 共働きなら共有名義で買ったほうがいい
- マイホームは庶民の夢。頭金ゼロでも家を買えるのはいいことだ
- モデルルームだけ見て買うマンションの青田売りは当り前だと思う
- 日本の住宅の平均寿命は50年くらいだと思う
- マンションの建て替えはそれほど難しいことではない
- 欠陥住宅はどんどん減っている
- 狭小だが都心部に一戸建てを実現できる木造三階建ての建て売り住宅は魅力だ
- 大手デベロッパーの物件なら心配いらない
- 土壌汚染の意味を知らない
- 既存の住宅地なら地盤の心配はない
- 川沿いや海辺の超高層マンションは地震対策がしっかりしている
- 超高層マンションの火災対策は万全だ
- シックハウスの意味を知らない
- 定期借家権制度の存在を知らない
- マンション購入の際、月々支払う管理費などをチェックしない
本文中ではこのうちの半分にYesと答えた人は、少なくともいったん踏みとどまって、いろいろと勉強してから出直すべきだと書かれている。それを読んだときには「なるほど、そういうものか」と思ったのだが、読了した今は、これらの問いのすべてに理由付きで答えられ、かつ、なぜそのことを考えなければならないのかについて説明できるようになってから、家を買うことを考え始めても遅くないと思っている。
就寝前に少しずつという感じで読んだのだけど、分量的にそう多くなく、あっさりと読み終えてしまった。全体として内容は良いと思うが、構成面には少々難がある。というのは、まったく同じフレーズが様々な場所で使われていてやや読みにくく、またその内のいくつかのフレーズは頻繁に出てきすぎて、フレーズ自体が陳腐化してしまっているようにも思えるからだ。もう少しスリムな構成になっていれば、より読みやすかったろうし、著者が強調しているポイントがより分かりやすかったのではないかなと思う。
*1 実際に買うとなったときにこんなことを言っているようではまるでダメだとは思うし、買うことを決めたならばもっとたくさんの事を学ぶ必要があるのだろう。