ScanSnapした画像のレベル調整
昨日の記事はブックマークのつもり書き始めた。しかし脱線していって自分でやってみたことのほうが多くなってしまったので記事を分けることにした。
きっかけは以下のページ。
Desire for wealth : ScanSnap の自炊 pdf を自動で美白化(レベル補正)する convert -density 150x150 -type GrayScale \ -linear-stretch 10%x35% \ -geometry 512x -compress jpeg -quality 80 a.pdf b.pdf
このページや他のページで解説されているのはconvert
の-linear-stretch
の使い方である。だが、似たようなオプションに-level
というのがあって、これらの関係がよくわからない。そこでいろいろと試してみた。
結果を言うと-level
もこの目的では同じように利用できる。
どちらもまっ黒、まっ白にする水準を指定して画像加工を行う。ただしパラメータの指定には違いがある。-level
は入力画像の明度で指定するのに対し、-linear-stretch
では入力画像の明度に対するヒストグラムの値で指定する。(……ということで合っているだろうか?)
明度の値は0〜255(0〜100%)である。たとえば0〜51(0〜20%)を黒く、230〜255(90〜100%)を白くしてしまおうと考えたとする。
-level
を使うなら-level 20%,90%
のようにパラメータを指定する。このような方針に対して-linear-stretch
を使うのは難しいが、あえて使うなら明るさレベルが二つの範囲に収まる画素数をカウントして指定してやることになる。
たとえば、下の「元画像」とした画像には明るさが0〜51の範囲の画素が676、230〜255の範囲の画素が106,169ある。よって-linear-stretch 676,106169
とすれば-level 20%,90%
とおおむね同じ結果が得られる。
与えたパラメータの値から分かる通り、-level
は数直線上の位置を指定するのに対して-linear-stretch
は白黒それぞれの端からの範囲を指定するという違いもある。これらをGimpのレベル調整との対応させると、三つならんだ「▲」の位置を指定するのが-level
であり、ヒストグラム中の面積(図中で赤くした部分と青くした部分)を指定するのが-linear-stretch
である。
元画像 | |||
---|---|---|---|
-level | |||
-linear-stretch |
なお、ここで示したヒストグラムの生成もconvert
で行った。元画像からのヒストグラムの抽出は次の通り。
convert orig.jpg -format %c histogram:info:-
そしてレベル補正後のヒストグラムのグラフ生成は次の通り。せっかくなので出力ファイル名の展開を使ってみた。
convert orig.jpg level.jpg linear-stretch.jpg \ -set filename:bn %t \ 'histogram:%[filename:bn]_histogram.jpg'
ヒストグラムについてはこちらを参照した。
ここでは例示のためにあえて甘めの白飛ばしにしたが、レベル補正だけでもconvert -level 20%,80%
くらいにすると(この画像の場合には)かなり読みやすくなる。ついでなので以前作った、というより作りかけのまま放置しているGimpスクリプトで加工した結果もならべておく。
-level 20%,80% | ||
---|---|---|
Gimpスクリプトでレベル補正 | ||
Gimpスクリプトでレベル補正のほかいろいろ |
ところで、大本の一ページまるまるの画像は4,183×6,154ピクセルある。上の例で示しているのはそこから切り抜いて加工し、その結果を約1/6に縮小したものである。大本画像を同じ要領で縮小すると684×1,006ピクセルとなり、これはiPad1/2を横向きにして見る場合のサイズとほぼ同じ。そう考えると、レベル補正だけでもわりあいいいところまでいけそうな気がする。
よく見るとGimpでいろいろやったもののほうがいくらかきれいなのだけど、その差以上の処理時間の違いがある。我が家のPCで大本画像を処理しようとすると数十秒かかってしまい――ちょっと使いものにならない。Gimpでがんばるのもなかなか楽しいのだが、別の方法を考えたほうがよいのかなという気がしている。
ここで大切なお話: 上の例でとりあげているのはまんがタイムきららミラクで連載中の柊ゆたか著「Good night! Angel」第一話の一コマ(ミラク創刊号75ページ)。きらら系他誌とはちょっと毛色が違っていて、この作品をはじめ他作品も含めて面白い。
どこがどう違うのかというのは難しいのだけど、物語が重視されている作品が多いこと、だろうか。
日々の中の一日をちょこちょことつまんで全体的な物語を構成するのは他4コマ作品でもみかける。ミラクではもう少し長めにとられることが目立つように感じる。点を連ねるのに対し、線とまではいかないかもしれないけれど線分ではあるかな、というところ。
それから絵の書き込みが他誌よりも細かい気がする。みなさん妙に気合いが入っているというか。読み返していて「おっ」というところをみつけることがしばしば。
まあ、うまく言えないんだけど、ともかくおすすめ。