ラノベ、ラノベ、単行本、文庫 2
ここのところで天使から百年→くあっどぴゅあ→ファディダディ・ストーカーズ→星の舞台からみてるの順にひとまとめに読んだ。このくくりに意味はなくて、積んでしまっていた本の上から手に取っただけ。
くあっどぴゅあ[rakuten](木本雅彦さん)は期待外れだった。限られた文字数の中にあれもこれもと詰め込みすぎで、骨組みはあるけどなかがスカスカになってしまった印象を持った。描写も説明も足りていないし、骨組みのほうでも無茶してる気がする。
同じように描写が不足ぎみながら、対照的に好感触だったのが
天使から百年[rakuten](野梨原花南さん)。舞台というか景観を想像させる部分が抜け落ちているので、読み進めた後から補正が必要となる。が、物語を支える世界観の構造に今後面白くなっていきそうな予感がある。というのは、裏を返せば第一巻としてまとまった何かが消化されているわけではないということでもあり、その上、巻数表示もなかったりするので…… 実は不安でもある。いい感じの続きを期待するところ。
ファディダディ・ストーカーズ[rakuten](芹澤桂さん)はカバーで買った。冬目景さんの絵を文芸コーナーで目にしておどろいた。それが落ち着いたら買うしかない。まあ、実際にはすぐに買ったのではなくて、どんな内容か調べてから買ったのだけど。
で、小説のほうはというと、一人暮らしをようやく始めた大学生のまわりに起きる騒動を扱ったもの。ストーリー展開はある程度予想がつくものだけども、人々が丁寧に書かれていてなかなか面白かった。次が出たら(冬目さん抜きでも)また読んでみたい。
最後に読んだ
星の舞台からみてる[rakuten]はくあっどぴゅあと同じ木本雅彦さんの本だが、こちらは大変面白かった。
人物描写がちょっと弱いかなと感じたけれど、UNIX的なアレコレをまじえながら語られる全体的な構造は面白いと思った。近未来を舞台にしつつ、現在のインターネットをはじめとするネットワークの成り立ちをまず描き、その延長としての近来未を構築してみせているのもなかなか面白い。いやそこは、とかツッコミたくなったり、さらなる妄想したり。
テーマを支えるのはヒトとヒトをつなぐ信頼なんだろう。Web of TrustやCAなんて用語が出てくる。それらに象徴される(ようになる)ヒトたちがあり、事件があって新たな関係を結んだり、対立したり、離れていったりする。やがて決着に至るその物語は緩急起伏があって引き込まれた。著者の経歴から予想されるように、現場に近い描写がなされるところでは、ある面での生々しさがあるのもポイントの一つだろうか。
もちろん物語をどう評価するかは人それぞれだけど、少なくともちゃんと読み通せるだろうと思う。そして、この業種の人々(ハッカーと呼ばれるような人々は別として)なら読んでいて何か思うところが浮かんできたりするのではという点で、興味深い本だと思った。「どう、ちょっと読んでみない?」と言ってみたい本。
ときに、OSI7層とか、TCP/IP4層とかはもかく、tipだのkermitだのuuencode(X-MODEMとかじゃないんだな)だの、なんてのはSFな人々には常識なのだろうか。もしだとすると、いつまでたってもSFを読みこなせるようになれる気がしないのだけど……。
感応連鎖
朝倉かすみさんの
感応連鎖
イヤラシイほど少女と女を綴った朝倉作品、大好きです!
という書評に強くひかれて読み始めた。著者の作品を読むのは初めてで、内容もほとんど知らない状態で。
人と人との感情を含めた言動がからみあって…… というのは当然ながらどこででも見られるが、この物語ではそれとはレイヤ一を違えて人と人と(ここでは少女と少女)の意識のからみ合いが描かれているようだった。意識とか思考とか、が、強烈に行き来する様子には生き生きとしたという面がありつつも、角度をわずかに変えるだけで、どこかシステマティックな相互作用のように見えてくる。
四編からなる、四人の少女の物語の最後。その彼女の生き様には別に感じるところがもちろんあるわけだが、そこに至る上での方法論、とまではいかないイメージがすべてを収斂するキーとして浮かび上がる。そこに美しさのようなものを感じる。
美晴さんランナウェイ
山本幸久さんの
美晴さんランナウェイ[rakuten]を読んだ。
ほんわかした中にピリッとシビアな目線があって――というようなところは他作品とも共通していて面白味を感じる。また、文庫化にあたっての書き下ろしである、後日談というか、バックヤードというか、な「ノロや」は、ありがちなようでいてそうでもないような、特徴的な視点があって面白かった。
ただ、全体としては引っかかりが(足り)なかったかな。あれれと思っているうちに読み終えてしまった気がする。
午前零時のサンドリヨン 2
ギークだ、と彼が再び呟く。
「さっきからなによ、ギークって、どういう意味? 日本語で話してくれない?」
「ルビーが入ってる」(相沢沙呼「午前零時のサンドリヨン」262ページ)
午前零時のサンドリヨン[rakuten]を読んでいたら、思わぬ出会いがあった。とはいえ、その手の話題がテーマではなく、これは高校を舞台にしたミステリ。
話の運びにはやや固さがあるように思う。だが、それとは関係ない、物語の上でのカクカクした距離感に、少しずつ少しずつひきこまれていった。主人公の、あの時期の、あの青臭い、ぎこちない感じも好もしい(だんだんそう思えてくる)。最後は急に伸び上がってしまったかな、と思うと、いくらか惜しい気持ちにもなった。
次の本が出たらまた読みたい。
完全恋愛
完全恋愛[rakuten]はの著者は牧薩次さん。けっこうなボリュームがあるので二、三日に分けて、間にいろいろはさみながら読もうかなんて考えていたのだけど、読み始めたらいきおいに乗って、そのまま読みきってしまっていた。
ある少年が老いていくまでというすごく長い期間を扱っていることもあり、盛り上がりどころももちろんありながらも、ゆったりとした時間の流れを感じるようなお話。ただ、クライマックスは「うはー」という感じだった。こりゃすごい。
ミステリ系を読み始めるきっかけであった「容疑者Xの献身」を読んだときにも「やられたー」という気持ちを味わったのですけど、今度のもそれにおとらない「やられたー」。
物語の始まりは戦時中なので、正直、ちょっと苦手かもと思いながら読み始めたのがいつの間に乗せられちゃったのか。amazon.co.jpのレビューにもある通り、とある作家さんが一枚かんでいる。この方の他作を読んでみたくなった。
秋期限定栗きんとん事件
米澤穂信さんの小市民シリーズの新作である
秋期限定栗きんとん事件の上巻[rakuten]と
下巻[rakuten]を読んだ。
内容は…… いつもの通り、でもないか。別々の道を歩むことになった二人のそれから。小佐内さんの、なんていうのだろう、ブラックさというのともちょっと違うし、いけずってのも少し外していそうだし、やっぱりコケティッシュ、なのかしら。ともかく、またもしっかり楽しませてもらえた。
トーキョー・クロスロード
濱野京子さんの
トーキョー・クロスロード[rakuten]を読んだ。
きっかけはhirax.netの記事だが、紹介文から受けたイメージと、本を読んだ感想はずいぶん違ったものだった。違ったものだったが内容はとっても良かった。
若くて、せつなくて。ふりかえってみると変化の体感速度、感触、認識のズレというか、見掛け上の違いというか、そういったところが印象的だった。ネットワークの相互運動の見え方への戸惑いだったかもしれない。パラパラと裏返り続けながら落ちていく玩具のような風景が見えた気がした。
シンプルともいえなくないなかで、何をどのように感じとっていったのかな、と、そこら辺で自分に立ち返って、どーーーだったかなぁ。って。
カイシャデイズ
BE-TWINS

